私的な読書感想文:人気ミステリ作家の貴重な闘病記

2022-07-23

『無菌病棟より愛をこめて』 加納朋子 著 文春文庫

 

加納朋子さんと言えば、傑作ワーキングマザーPTA小説『七人の敵がいる』が

個人的に最高にお勧めの一冊ですが、今回紹介する作品は白血病と診断された

著者の、貴重な闘病エッセイです。

 

咳風邪症状で受診し当初は貧血の診断で治療を受けるも、その後も症状は改善

されず肺炎を発症、そして紹介された大学病院で急性白血病の診断を受ける

…。本格的な闘病記は白血病の診断を受けた後から綴られていますが、最初に

体調を崩してから診断を受けるまでの経過も、とてもリアルで、そして加納

朋子さん独特のユーモアと共に綴られていて導入部から読み易いです(冒頭

「それより前の日々」の挿絵も秀逸)。

 

白血病の辛い闘病生活が、ユーモアを忘れずに綴られているからこそ、温かい

気持ちで読み進めていくことができるのも、今作の魅力だと思います。

『七人の敵がいる』もほぼ同時期に執筆されたことがわかり、懐かしくなって

10年振りに読んでみたら、当時と変わらず笑って泣けました。

 

著者の作品が未読の方は、是非両作品を読んでみることをお勧めします。

コロナ禍だからこそ、良質な読書で免疫力を上げたいと思う今日この頃です。

                         コスモス苑 介護課長

 

 

 

 

 

 

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